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2005年10月19日 (水)

子供のウソにどう対処していけばよいか?

※ これは以前「心を育てる学級経営」誌に掲載されたものである。

1 まずは話せるムードを提供すること

 ホンネにしろ、ウソにしろ、とにかく話さないことには、先に進まない。
 力づくで話を聞き出そうとすれば、子どもに限らず大人でも固くなに拒もうとするものである。
 指導の最終目標は、子どもから事実を聞き出し、適切に指導し、よりよい行動化へと導くことにある。
 そのために必要な環境として、
┌───────────────────┐
│話せるムードを印象づけること │
└───────────────────┘
が大切である。
 そのためには、次のことに留意するとよいだろう。
┌───────────────────┐
│ ① 子どもと対座しない。 │
└───────────────────┘
 真正面から向き合うことで、威圧感を感じると、それだけで口を拒もうとするものである。
 極度の緊張感を与えないことである。机の角を挟んで互いに直角に位置するように座るのがいい。(余談だが個人面談で保護者と話し合うときにも大変有効である。)
┌───────────────────┐
│②「まちがっていたら、ごめんね。 │
│~という話を○○さんから聞いた │
│んだけど、本当かなあ?」 │
│と、ワンクッションおいた言い方で │
│話しかけてみる。 │
└───────────────────┘
『おまえ、~しただろう!』という最初から決めつけた言い方は厳禁である。子どもが蠣になってしまう。
┌───────────────────┐
│ ③まったくの別件から話し始める。 │
└───────────────────┘
 最近、その子が頑張っている様子をほめてあげたり、活動の様子を評価してあげたり、帰宅後の生活の様子など、まったくの世間話のようなことでいい。差し障りのない話であるほど、話していける雰囲気を提供することができる。

2 ウソを見抜く話

 さて、いよいよ本題である。
┌───────────────────┐
│ ウソは子どもの自己防衛行動である。 │
└───────────────────┘
 この原理をあなたがしっかりと意識していることがまず大切である。
 「子どもは自分に都合の悪いことは言わないものだ」という特性を把握しておくことである。
 その上で、子どものウソを見抜く技術には、次のようなことを上げておく。
┌───────────────────┐
│ 自己弁護・自己擁護の話し方をした時 │
└───────────────────┘
 たとえば、次のような言い方である。
 「何もしていないのに・・・」「ただ・・・」「ちょっと・・・」「~のつもりで・・・」「少し・・・」「軽く・・・」
 等々と、責任逃れの言い方をしたり、程度を軽くみせようとする言い方をしたときには、注意したほうがよい。
 
┌───────────────────┐
│ やたらと詳しく話す時  │
└───────────────────┘
 こんな時にも、要注意である。
 曖昧なことには、突っ込みをいれる人は多いが、ことさらくわしい内容であれば、そのまま事実誤認をして信用してしまいそうになるものだ。
 しかし、そんな時にもウソをくずすとっかかりがあるものである。
┌───────────────────┐
│ 5W1Hを時系列で記録しておく │
└───────────────────┘
 〈だれが・いつ・どこで・なにを・なぜどうした〉ということを、時間を追って話していると、時間の経過とともに、内容に矛盾がでてくるものである。
 ウソとはもともと作り話であるから、順序、内容、因果関係、呼称の間違いなど、たいてい現出されてくる。
 したがって、話を聞く時には、メモを取りながら聞くことが必要である。
 『おや?さっきは、◇◇◇といっていたけど、◆◆◆となっているね。それは、変じゃないか?』と、詰問していくと、さらにつじつまを合わせようとするウソを重ねるか、本当のことを白状するか、どちらかである。矛盾点を追及していくことで、真相に迫ることができるものである。

┌───────────────────┐
│ 作文を書かせる。  │
└───────────────────┘
 個室でひっそりと事実関係に関する作文を書かせると、そのまま本当のことを素直に書く子どもが多い反面、ウソに慣れている子どもであると、そこでも平気で作り話を書くということがある。
 書かれてある事柄について、不足の部分を聞き取ったり、確認しながらカウンセリングを進めていくなかで、先の話の矛盾点がでてくることがある。

 以上のような指導場面から、ウソを認め本当のことを話してくれた子どもには、
┌───────────────────┐
│ ウソをつくことはいけないことだが、 │
│ 本当のことを話した勇気は感心だ。 │
└───────────────────┘
という賞賛を与えることが大切である。

3 ウソを見抜く動作

┌───────────────────┐
│ 視線をそらした時  │
└───────────────────┘
 「目は口ほどにものを言い」とはよく言ったもので、ウソをつく時には視線をはずしてしまう子ども(大人も同じか)が多いものである。
┌───────────────────┐
│ チック動作が現れた時  │
└───────────────────┘
 まばたきの回数が急増したり、唇がゆがんだり、顔や体に不自然な動作が現れたりした時というのも、後ろめたさが心理的に体に影響を与えていることが多い。
┌───────────────────┐
│ 顔色が変わる  │
└───────────────────┘
 うそ発見器の動作原理はここにある。
 核心部分に触れられるとだれでもドキッとするもので、顔色や表情が一瞬変わってしまうことは、身近にいくらでも例があることと思う。教師が話している時には、極力、相手の子どもの表情を見ながら話すことが必要となってくる。
 ここまでは、教師一人に子どもが一人という状況設定であるが、時には、当事者どうしで子どもが二人ということもあろう。 そんな時、教師は聞いている片方の子どもの反応をみているとウソを発見する効果がある。
 話が食い違っている場合、ウソの言動に子どもは敏感に反応してくる。そこを観察しておくのである。

4 手ごわい集団の「口裏合わせ」を破る

 高学年・中学校と年齢が増してくるとウソもすることも高度になってくる。
 もっとも手ごわいのが、グループ内で口裏を合わせておいて、誰に聞いても同じ内容の話しか出てこないという場合である。 最も大切なことは、
┌───────────────────┐
│ 一人ひとり個別に事情を聞いたり、記 │
│ 述させたりすること │
└───────────────────┘
である。しかも、
┌───────────────────┐
│ できるだけ早急に! │
└───────────────────┘
である。
 相手が複数なら、こちらも複数で聞き取りの教師も該当の担任・学年・指導部の教師などに当たってもらう。場合によっては教頭・校長ということも考えられる。
 こういうときは、間を置くとまず決めてがなくなってしまう。事実曖昧のまま指導が徹底できずに、第二の事件に発展してしまうことにつながりかねない。
 後は、すでに述べた手法でウソを見抜くようにする。

5 教師の力量の差

┌───────────────────┐
│  指導力のある教師は、子どものウソ │
│ にだまされてあげることができる。 │
│  しかし、指導力の弱い教師は、子ど │
│ ものウソにだまされてしまう。 │
└───────────────────┘
 結果どうなるか。
 教師としての、権威が失墜し、子どもたちからの信頼を失い、学級崩壊を引き起こしてしまう。
 ウソをつくということは、結局はウソをついた子ども自身に返ってくることで、正常な発達の妨げになってしまう。
 「嘘も方便」の例のようなコミュニケーション技術としてのウソは、人間関係を円滑にしていくものであるが、ほかの者に迷惑をかけていくウソには、断固として指導することが必要なのである。

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