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2005年11月16日 (水)

目から鱗!の”戦争と平和”をめぐる文献紹介

※これは以前に「社会科教育」誌(明治図書)に投稿された小稿です。

9 目から鱗!の”戦争と平和”をめぐる文献紹介
                        歴史書探しのためのフィルター 
                                              大谷 和明
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│  歴史の本が続出するときは必ず危機の時代だ。                              │
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 あまり「目から鱗の本」にお目に掛かった記憶がない私は、『戦後50年 日本人の発言』(上下 文藝春秋)に当たってみることにした。その中に、亀井勝一郎による「現代歴史家への疑問」(「文藝春秋」昭和三十一年三月号初出)の論文が掲載されていた。
 その中の一節である。歴史家の資格として特に三点目が重要と私は思う。
┌──────────────────────────────────────┐
│ 歴史家とは共感の苦悩に生きる人                                            │
└──────────────────────────────────────┘
 とかく、歴史上の事実が時系列に沿って書き連ねられている文献が多い。しかも、文言が難解であれば、目から鱗どころの代物ではなくなる。
 表現に腐心し、事実の背後にある歴史的選択の深淵を考察してこそ、読み手を興奮せしめることができるということだろう。司馬遼太郎・井上靖らの著作が頭をよぎった。
 亀井氏から頂いたフィルターを使って早速文献検索を行なって見付けた一冊がこれ。
┌──────────────────────────────────────┐
│ 『歴史を読む智恵』 増原 良彦著( 大和出版 )                            │
└──────────────────────────────────────┘
 勝てる見込がほとんどなかった大東亜戦争へとなぜ日本は突き進んでいったのか?闇討的開戦として、とかく、外交上のへまが取り上げられる真珠湾攻撃だが、非戦闘員の大量無差別虐殺である原水爆の投下と比較すれば?
 何をするか分からない大国アメリカへの極度の恐れと追い詰められて窮鼠猫を咬む行為に及んだ日本。その歴史は、幕末のペリー来航~開国の強要~日米和親条約の締結に端を発しているとの指摘。
 しかも、幕末の「佐幕攘夷」対「統幕開国」をめぐる国内外での外交の行方。国を二分しての戦いが思わぬほうに転んで、国としてのまとまりを失って、アメリカ側へ付く藩でも続出していたら、日本はその時からアメリカの植民地となっていたかもしれない。
 そうすると、坂本竜馬をめぐる歴史上の人物たちの動きの背景などなどを目まぐるしく私の頭の中を駆け巡ったもので、目が覚めるような感じすらした一冊である。
 副題~日本人の「クセ」が見えてくる~という点でも大変面白い啓発書という意識で読ませてもらった。
                                                    (札幌市立ひばりが丘小学校)
                                                                               
                                                                               

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