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2005年11月12日 (土)

教科・教科外学習から総合的学習へのアクセスポイント

以下は、過去に発表した論文である。

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「教育技術研究」第8集
特集総合的学習と二十一世紀型の授業像を探る
3 教科・教科外学習から総合的学習へのアクセスポイント
(4)理科   理科は「アリの巣型」アクセスを

1 総合へのアクセスは理科が最多?!

 総合的学習のプラン作りをしてみたり、紹介される実践提案の数々をみていて思うことは、
┌──────────────────────────────────────┐
│ 理科には総合へのアクセスポイントが無数と思えるほどある                                 │
└──────────────────────────────────────┘
ということである。
 ただし、条件がある。それは、
┌──────────────────────────────────────┐
│     プランニングのアイデア次第                                              │
└──────────────────────────────────────┘
ということである。
 アイデアの数もさることながら、アイデアの質に左右されることが多いと感じている。
 最近私が立案したプランに、「希少種保護の環境学習」(授業づくりネットワーク誌’99年9月号の依頼)がある。
 現在、地球上では未曾有のスピードで種の絶滅が進行しているのだが、これは過去5回の大きな絶滅を凌駕するものである。
 しかもその原因は人類がもたらしたことであることがはっきりしている。
 世界はカオスの時代を迎え、あらゆる方面・分野でボーダーレスがしかれるところとなった。教育界もまた「総合的な学習の時間」を創設するにいたったのは、時流というべきであろう。
 これがつまり「横断的・総合的な学習」ということになる。
 理科は指導内容の関連が算数同様に、系統化されて来たことで、学年間での指導のつながりを他の教科よりも意識的にもつことができた。
 しかし、これはアプローチに過ぎなかったと言える。いわば、
┌──────────────────────────────────────┐
│   系統とは枝わかれを持つ単線軌道                                            │
└──────────────────────────────────────┘
だった。
 アクセスという概念は双方向性を持つ。
┌──────────────────────────────────────┐
│ アクセスポイントとは出入り口である                                          │
└──────────────────────────────────────┘
 これまでの「単線型軌道的」系統発展とは明らかに異なる。それは、
┌──────────────────────────────────────┐
│   「アリの巣型複線」的系統発展                                              │
└──────────────────────────────────────┘
と言える。
 これまでの理科の教科内だけの系統発展を平面的に捕らえるなら、これからの理科と総合的学習とのつながりは、立体的に捕らえていかなければならないだろう。
 インターネットのホームページ上がそれぞれ複雑にリンクしているのに似てくるものと私は考えている。

2 「児童の興味・関心」の引き出しが鍵

 これまでの教育課程編成が固定的なものだったのは、教科テリトリー・領域テリトリーのように枠組みがはっきりしていたからである。
 「アリの巣複線型」を意識した教育課程編成や総合的学習の単元づくりは、
┌──────────────────────────────────────┐
│ 他学年を通した一括編成も考えられる                                          │
└──────────────────────────────────────┘
のである。
 今回の学習指導要領では、二学年通しによる教育課程編成を可能としているが、おかしなことに理科ははずされている。あくまで学年内処理というイメージである。
 読者諸氏には今一度、A~C領域と各学年内の学習内容を一覧にし、内容関連を洗い出しする作業をしていただきたい。
 学年を横、学年間を縦と見ると、それぞれに内容的に関連づけられることが多いことが分かると思う。
 4年の光電池をみる。3年の光・日なたと日かげ・乾電池と豆電球とが教科内関連である。総合へのアクセスポイントと見ると、エネルギー・環境問題教育との関連が見えてくる。
 代替エネルギーとくくると、風力・波力水力・原子力・地熱等々へと広がることが考えられる。
 風力発電を見ると、おのずと天気の影響(つまり理科)へと戻ってくるだろう。ただし「天気の変化」は5年の内容である。
 天気の変化は気象衛星を使うことで、かなり正確にトレースすることができるようになったし、予報精度も伸びた。
 大気のダイナミズムを空気の対流として見ると再び4年の内容へとつながっていくだろう。
 地熱発電にしても、当然ながら火山に関する学習が伴ってくる。これは土地のつくりとでき方(6年)につながり、余熱利用を引いてくると植物の季節の変化(4年)や温室栽培(発芽から結実~5年)、環境との関係(6年)・・・と、字句に起こすことがまどろっこしいほど、さまざまなアクセスポイントをもつことが分かる。
 ただ、どんなアクセスの可能性が示されていても
┌──────────────────────────────────────┐
│ 子どもが興味・関心を抱かなかったら断線状態と同じである                      │
└──────────────────────────────────────┘
ということだろう。
 今回の学習指導要領では理科の二学年通し指導は見送られたが、学校の独自性や創造的な人間の育成を本当に考えるのなら、理科に関してもダイナミックな教育課程編成が可能となるようにするべきである。

3 プランナーの知的好奇心

 冒頭に述べたことに戻るが、総合的学習へアクセスしていくには、
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│       プランナーのアイデア                                                  │
└──────────────────────────────────────┘
が必要条件である。そして、子どもたちの知的好奇心を高めていく指導もまた必要条件である。それは理科だけではないこともまた自明のことである。

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