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2006年11月26日 (日)

私の本棚061126

『サンカ社会の深層をさぐる』(筒井 功著;現代書館 2,300円+税)

サンカと言えば、三角寛を挙げる人が多いだろう。私も選集を読んでいる。宮本常一もまたサンカについて触れているが、三角ほどではなく、民族学のいったんとして紹介している程度である。サンカの著作物で、筒井氏はマイナーな感じがするのだが、なかなか冷徹な筆致で好感が持てた。

北海道では(とりわけ代々北海道生まれ育ちの道産子にとっては)、被差別部落やサンカにみられる下層に位置づけられる人たちのことを思い浮かべることが出来る人はほとんどいない。知らないのだから、その著作物がめずらしいということもあってか、いろいろ読んできたというわけである。

いやはや、やはり重かった。乞食や世捨て人というくくりだけでは到底説明できない集団(というか群)である。たくましく生きていた人もなかにはいたのだろうが、そのほとんどは社会的隔離の中で生きてきたというのが正しい認識だろう。

サンカって何?という人には、筒井氏の「あとがき」が端的に説明してくれるだろう。
(引用開始)------- 彼らは文字をもたなかった。ちょっと複雑な計算が、できなかった。土地ももたず、家をもたなかった。戸籍ももたず、姓ももたず、墓ももたなかった。雲が流れるようにして日を送り、水が流れるようにして年を重ねていた。自分がいくつか知らず、また気にもかけなかった。病んでも、けがをしても、ただ自然治癒にまかせる。そうして、死ねば、そのへんに放置されていたのである。------(引用終わり)

このところ行き倒れという言葉は死語になっているが、その昔、サンカ集団が散在していた頃には、めずらしいことではなかったのだろう。厭世や諦念という言葉が浮かんできたが、当事者たちは一体どのような意識でその日その日を暮らしていたのかと思いめぐらした次第である。

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