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2007年1月 4日 (木)

私の本棚070104美術図工教材研究用に

『日本 その心とかたち』(加藤周一著;徳間書店 4,700円+税)

ちょっとお高いが美術・図工指導をする教師の教材研究の参考書とした一冊である。重厚なハードカバーにふさわしく、内容も格調高い。日本の造形芸術を歴史的に考察していることに加えて、加藤氏らしい分析が随所にほどこされていて、大変勉強になる。

--------(引用開始) 幾何学的遠近法の採用は、ある種の浮世絵の特徴である。北斎の《富嶽三十六景・深川万年橋下》では、遠近法的には視点は固定されるが、視線は川の面の小舟を見下ろし、橋下の遠景富士を見透かし、橋を見上げるというように上下に移動する。《富嶽三十六景・江都駿河町三井見世略図》では、右手に大きな切妻屋根の三角形を描き、中央遠景の富士を挟んで、左手に小さな屋根の三角形を描く。これは視線の方向をどう変えてみても、一点からは眺めることのできない光景である。右手の大きな屋根は左から眺められ、右の小屋根は右からのみ見ることができる。すなわちここでは視点自体が左右に動いて、その結果、大中小三つの三角形と、左右の屋根の線が作る大きな逆三角形とによって、画面は緊密に構成されている。「トリミング」と多様な視覚の活用は、近景と遠景との組み合わせが多彩で独創的な、ほとんど映画の「カメラ・ワーク」のような多くの構図を生み出した。--------(引用終了)

D/C表検定用のネタもいくつかあるので、TOSS/酒井式研究者には、お薦めの一冊である。

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