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2007年2月25日 (日)

私の本棚070225内省と沈思黙考

『和を継ぐものたち』(小松成美著;小学館 1,400円+税)

小学館発行「和樂」の連載をまとめたもので、日本の伝統文化を担う22人と小松氏との対談記録である。
初っぱなの佐藤康光棋士が秀逸。

(引用開始)-------- (小松)我々素人からすると、勝負に勝ったらすごく喜んで得意になって、たぶんそちらのほうをモチベーションにすると思うんです。逆に、負けたことはすぐに消したいと思う。でも、佐藤さんは負けたことを糧にされたわけですね。 (佐藤)もちろん、勝って学ぶことも多いです。ただ、自分の中では、勝った将棋をもう一回見るよりも負けた将棋を検討して、同じ過ちを繰り返さないようにすることが大事でした。 (小松)逆に、勝ったときはどんな感じなんですか。自分で自分を褒めたいような? (佐藤)子供の頃は強いと思っている人に喝ことはうれしかったですね。今はわりと平静ですけれど、要するに、勝つ喜びよりも負ける痛みのほうが大きいんです。自分にとっていろんな意味で。 ===中略=== (佐藤)私は最近、年間に約50局を闘うわけですが、その中でも美しい将棋というか、自分が納得いく将棋をさせるのは、年にわずか一、二局なんです。だから一歩一歩精進して、そういうところに少しでも近づいていくしかないんです。 ------(引用終了)

やはり勝負師というものは違う。負けない闘いをするということが、すなわち勝利につながるということなのだが、実にストイックな生き様である。

他に、江戸筆職人の亀井正文氏にもいい言葉があった。

(引用開始)----- 筆は、僕の手を離れた段階では完成していません。お使いになる方が納得する筆になってこそ完成されるものです。だから、自分がつくるのは80%で、あとはお客様が使っていって百%になるのだと思っています。たとえば、江戸筆は筆先をわざとそろえないでぼやっとつくっているんです。ほかの職人さんに言わせると、それは毛をそろえる技術がないからそういうつくり方をしているんだということになるのですが、違います。お使いになる方が墨をつけると、たとえばまっすぐに書く方だったら、ハサミで切ったように自然に(筆先が)平になります。あるいは、側筆(筆そのものを横に倒して、筆の腹を用いて書く書き方)をやると丸くなったり。それぞれの書き方によってベストな筆の形になっていくようにわざとつくっているのです。ですから自分のつくる筆が何点かといわれたら、80点しか出ないんです。これは僕の考え方ですが、筆はあくまでも、お使いになる方の線を表現するための道具ですからね。

われわれの仕事の醍醐味は「亀井の筆を使ったらうまくなった」ということを体験してくださることなんです。商売としては高い筆を売ったほうがいいですよ。でも、どんなに高い筆を使っても、使いこなす技術がなければだめな筆になるということです。ですから、失礼な話になるかもわかりませんが、わたしのところに初めて来てくださった方には全員、最初に字を書いていただいて、その方の現状よりも、ちょっと上の筆をお勧めします。そうすると、筆が腕を引き上げてくれますからね。   -----------(引用終了)

ううむ。そうであったか・・・。筆一本でも高い筆を直接購入するには、覚悟がいるなあ。(^_^;)

 

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