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2007年3月25日 (日)

私の本棚070325これが人間の本質か?!

『脳は意外とおバカである』(コーデリア・ファイン著・渡会圭子訳:草思社 1,600円+税)
著者はオックスフォードで実験心理士の学位を取得し、ケンブリッジで犯罪学の修士を取得したキュートなねえちゃんである(一応既婚者(^_^;)。渡会さんの訳との相性もよろしく、様々な人間行動を読み解いて紹介してくれている。
中でもおっかしいのが、1ページを割いて描かれている挿絵である。草思社の編集氏がきっとオーダーしたものなのだろうが、これまた内容とマッチして実におっかしいのである。(繪のタッチもそうなのだけど・・・)
犯罪学も修めた人だから、いろいろな事例データを持っているのだが、なかなかシュールなものもあって興味深い。「これが人間の本性なのだよ・・」とでも言いたげなことも紹介されている。
例えば、神学校の学生をジレンマ実験に使ったものなどが好例だ。

====(引用開始)学生たちは実験者から、神学を学ぶ者たちがどのくらいうまく即興で話ができるかを調べたいと説明を受ける。別の建物で研究助手が待っていて、そこで学生たちの即興のスピーチを記録する手はずになっている。学生の半分には、牧師以外の職業において神学部での経験がどのような価値を持つかについて、残りの半分には、よきサマリア人の寓話についての考えを話すように指示する。実験者はそこで時間の余裕に差をつける操作を加える。被験者によって、調査が始まるまで「まだ少し余裕がある」「時間ぴったり」「すでに遅れている」と、違う情報を伝えて送り出す。何も知らない被験者が別の建物に向かっていると、路地で一人の男が弱々しく壁に倒れかかる。実験が間違いなく成功するように完璧を期して、神学生が通りかかると、倒れかけている男は二回咳をして、さらにうめき声をあげる。 (引用終了)=====

さて、通りかかった無垢な神学生はどのような反応を示すのかという、いささか残酷な実験なのである。
結果は、余裕のある学生は声かけをして応対するのに対して、余裕のない学生のほぼ全員(これがすごいね)が急いで通り過ぎた。旅の途中で倒れていた男を助けたサマリア人の教えについて話してくれと言われた神学生たちのほうが、見知らぬ他人に深い思いやりを示したということもなかった(それどころか、よきサマリア人について話をしにいくはずの学生の中に、文字どおり男をまたいでいった者もいると、実験者は皮肉っぽく報告している。)

いやはや、なんともはやこれが人間の本性なのか、笑えない実話である。
と、こんなことを紹介していて、心理学エッセーとしては楽しめる本ではある。(^_^;)

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