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2007年4月

2007年4月19日 (木)

【私の本棚070419子供は絶滅危惧種?!】

『コンピュータが連れてきた子どもたち』(戸塚滝登著:小学館 1,500円+税)

インターネット社会の中で暮らす我々大人が、いかに子供たちと向き合って
いけばいいのかを示唆する好著である。
なかでMI理論について論述する部分がある。

===(引用開始)こうしてガードナー(ハワード・ガードナー;心理学者)は
生物学的な根拠や、さらには文化人類学に基づく根拠なども総合した上で
人間の知能とは少なくとも7種類の独立した知能から構成される集合体な
のだと結論づけました。有名は『知能の多重性理論』(Theory of Multiple
Intelligence :別名 MI理論)です。
ガードナーの多重知能理論はその後、多くの研究者によって妥当性が確かめ
られ、拡張され、現在では人間の知能は別表の8種類の知能から構成される
と考えられています。
 《以下、分類と代表的な人物を紹介》
言語知能・・・・・サンテグジュペリ、ヘレン・ケラー、紫式部
論理数学知能・・・アインシュタイン、アラン・ケイ、ホーキング
音楽知能・・・・・モーツァルト、ポール・マッカートニー、ジェニー
空間知能・・・・・スピルバーグ、アインシュタイン、ピカソ
身体運動知能・・・野口みずき選手、イチロー選手、サンテグジュペリ
対人知能・・・・・ケネディ大統領
個人内知能・・・・マーティン・ルーサー牧師、キング牧師、ヘレン・ケラー
博物知能・・・・・ダーウィン、カマラ

(引用終了)

これはあくまでも例だから、もっといろいろな人物について自分で分類して
みればいい。この8つの分類のどれかに割り振りしていけることだろう。

本書では「ITを与える保護者と先生のための三か条」というものがある。
いずれも「十歳の誕生を過ぎるまでは」という前置きがある。

第1条・・・ネットは与えないで。
第2条・・・PC(パソコン)より、五感と身体感覚を優先させて
第3条・・・人工(デジタル)より、自然(アナログ)を優先させて

ううむ。ここでもやはり十歳の壁というものがあるのですな。
子どもの精神を健やかに伸長させていくには、十歳以前の臨界期の関わりが
大事だということなのでしょう。

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2007年4月18日 (水)

【私の本棚070418教養とは底力なり】

『おとぎの国の科学』(瀬名秀明著:晶文社 1,800円+税)

詰め込み教育に対する批判から「ゆとり教育」がもてはやされてきた歴史が
あるのだが、若いうちに知識を幅広く吸収しておくことは大事なことである。
基礎教養の重要性は今も昔も変わりないことなのだが、この芯の部分がどうも
脆弱化している気がする。人間素養の基礎部分に当たるわけで、人生を豊かに
できるかどうかということにも関わってくる重大事だと私は考えている。

『パラサイト・イヴ』で有名になった瀬名氏のエッセイだから、こりゃ
きっとミトコンドリアのことも書かれているだろうと思ったら、やっぱり
あったね。しかし、テイストがちょっと違ってなかなか普遍的なことを
述べているのである。

===(引用開始)小説を書くことも同じだ。何かと何かを繋げて構築する
ことで、新しい価値観や発想を提示し、読者を楽しませる。ひとつのことだ
けに精通していればいいわけではない。『パラサイト・イヴ』でもミトコン
ドリアという題材を中心に据えることによって、生命進化から腎移植の問題
までもひとつの物語の中でリンクさせることができた。専門領域の論文ばか
り読んでいたのでは、このスリルは絶対に味わえない。
つまり、「教養」とは、リンクするための底力なのである。問題を解決し、
そして新しい面白さを生み出すための底力だといってもいい。知識だけ広範
に持っていても駄目だということがこれでわかるだろう。物事を自分と関連
づける膂力がない限り、それはいつまでも「教養」になりえない。私たちは
この「リンクする力」をどこかできっちりと習っているだろうか?(
終了)

一点豪華というナンバーワンが生きるためにも、ワン・オブ・ゼムとしての
オンリーワン崇拝呪縛を捨て去って、根っこから鍛えることが重要だという
ことだろう。

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2007年4月17日 (火)

【私の本棚070417さよならパイプのけむり】

『さよなら パイプのけむり』(團伊玖磨著:朝日新聞社 2,500円+税)

パイプのけむりシリーズはアサヒグラフとともにありつづけ、単行本としては
たしか27冊を数える長命のシリーズエッセイである。
私の記憶の古くから存在していたものであり、確か教科書にも所収された
ことがあったはずだ。
シリーズものの多くは、安直に「○○ 1」「○○2」というようにナンバリング
されるものが多いが、パイプのけむりシリーズは、必ずその頭に「もひとつ」
「まだまだ」という修飾句がつけられてくるものだから、毎回、単行本化される
際のチェックの一つにしてきた。
アサヒグラフの廃刊をもって、終了という潔い終わり方をしたわけだが、単行本
のあとがきが、團氏の心意気を象徴している。

ーーー(引用開始) 親しい友人は、愛読を給わった方々や、幾つかの出版関係
の組織からも、折角「パイプのけむり」なのだから、媒体を代えてでも連載を
続けてはどうかというアドヴァイスを受けた。然し、どう考えても「パイプの
けむり」は、今は亡き「アサヒグラフ」の美しい紙面上で続けた長夜の夢であって
請われたからといって、新聞紙や週刊誌の粗悪な仙花紙に褥(しとね)を代えて
文章を書く気にはなれなかった。そうなればそうなったで、文法も、文体も変え
ねばならない。詰まり「パイプのけむり」では無くなるのである。それに、こち
らは賣韻の徒ではあっても、賣文の徒では無いのだから、老舗の暖簾を利用して
迄文字を賣るような姿には堕としたくなかった。
香の烟のように、パイプの紫煙のように、空に昇って消える事こそ、長夜の夢の
果てに似付かわしい事と考えて、一切、継続の話しには乗らなかった。(
終了)

ううむ。名文である。

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2007年4月16日 (月)

SOUPLE編集長慰労会

酒井式札幌支部会報を「SOUPLE」という。フランス語で「しなやかに」という意味だ。
年間4冊(季刊発刊)で、現在36号まで出ているので、トータル9年間の実績となる。
しみじみとよくがんばってきたなあと思う。これも、サークルのメンバーがいたからこそできた確かな足跡である。
歴代編集長を慰労する会とやらを開催してもらった。2007年4月14日 岩見沢ホテル・サンプラザである。

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酒井式はまだまだ裾野が広くはないので、これからも努力していくことが肝心だ。
あれこれと批判批難の的になることが多いが、子供たちに造形する力がつき、
何よりも描いた本人が満足する指導法である。SOUPLEを通して、多くの実践を
広めていくことがこれからも必要だと強く感じている。
さて、このパーティはもうひとつおまけの趣旨があって、「TOSS/FreeTalk解散パーティー」というのがそれである。横看板に添え書きで”大谷さん、ひとまずありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。”とあった。(^_^;)
ううむ。引退じゃねえのか・・(^_^;)。と思いつつ、いつものように酔うほどに、しゃべくりを出してしまい、いつもの呑み会にしてしまった。(^_^;)
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これからもメンバーへの後方支援というか、コーチとして微力を尽くせればいいかなと思っている。
開催してくれたメンバーみんなに感謝!!

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【私の本棚070416旅してフラつきたいなぁ】


『にっぽん 海風魚旅 怪し火さすらい編』(椎名誠著:講談社 1,500円+税)

年度末~年度初めは教務主任にとっては、超!繁忙期である。
年度末のとりまとめ作業の他に、新年度に向けての諸準備から各種調査物やら
提出物やら年間計画の策定やら分掌間の連絡調整やらで、何回やっても何年
やってきても、流れが飲み込めているだけで仕事の量はさっぱり軽減してこない
ものである。(あたりまえか・・(^_^;)
43歳(だったと思う)で、初めて教務主任をやったときには、担任時代には
見えていなかったことが様々分かって、「へえ~、こんなことをしていたのか?」
と前任者を妙に偉く思ったことだった。
そんな期間に読むのは、当然ながらハードカバーの理論然としたものは避け勝ちで
いつもの定番「シーナ」に走ってしまう。
旅と随筆と写真の三位一体は椎名誠の真骨頂である。(おおげさか)
とくに紹介する箇所はないのだが、精神的な疲労回復にはお手頃のものかと
思う。早々に文庫化されるのが椎名本であるから、寝ころびながら文庫を読むとい
うのが私の好きなスタイルである。

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2007年4月15日 (日)

【私の本棚070415バイリンガルの強み】

『あれもうふふ これもうふふ』(伊奈かっぺい著:草思社 1,200円+税)

バイリンガルといっても、母国語の日本語以外に外国語を使えるという意味
ではない。分かったかと思うが、共通語の他に津軽弁も分かるという程度の
ことである。(^_^;)とはいえ、これがわからないと本書に綴られている津軽
弁の詩の面白さがちっともわからないだろう。一応、共通語訳が添えられて
いるのだが、臨場感がまるで違うのだ。(^_^;)たとえば・・・

===(引用開始)「納得(”ごもっとも”とお読みください;大谷)」
いっつも 飯食(ままく)に行ぐ
お茶漬け屋の娘(ゆりちゃん)
「きょう 買ってもらっただよぉ」って
シマシマの高価(たげ)ったらだセーター
私(おら)ぁ カウンター越しにすうっと手ェ出して
大(お)きぐもねぇ胸のあだりさ ちょぺっと触たきゃ
「わいッ! 何するのサ!?」
「毎晩(まいばげ) こごで飯食(ままく)て 銭(じぇん)コ払てるだもの
そのへんの毛糸(けいど)は 私(おら)ぁ払てる銭(じぇん)コ分だべね」
サッと奥(おぐ)から 女将(かっちゃ) 出はてきて
私(おら)の腕ば ぎりっと 抓(しねじ)った
「痛(いで)ェ! 何すだばッ!?」
「毎晩(まいばげ)こごで 飯食(ままく)てるんだものッ
このへんの肉(にぐ)ぁ----- 当店(おらえ)で食(か)へだ飯分(ままぶん)
だびょんッ・・・・・」 
(引用終了)====

いやはや、これを読んで約10分間死んでしまった。(^_^;)
これを共通口語訳で読んでもちっとも笑えないだろう。
津軽弁でやりとりする場面が鮮明に映像化されるので、死ぬほど笑えるのである。

ああ、バイリンガルでよかった。(^_^;)

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2007年4月14日 (土)

【私の本棚070414日本はいいもんだぁ】

『美しき日本の面影』(さだまさし著:新潮社 1,600円+税)

 私は高校生の頃からさだの歌を愛聴してきた。むろんLP盤(なつかしい
響きだねえ)も何枚か持っている。メロディが親しみ易いというのはもち
ろんながら、曲にうつくしい日本語を載せる技にはほれぼれするものがある。
根暗な歌が多いと酷評されていたさだまさしに、とりわけ男性ファンだとい
と「さだまさしぃ?!」などと言われることがあるという。(たぶんほんと
だろうね(^_^;)
そのさだはエッセイを何冊か執筆していて、そちらもなかなかよいタッチで
書かれているものが多い。
本書は、モノローグの色調が強い作品なのだが、タイトルにふさわしく日本の
心にふれる昔なつかしいニオイのする一冊だ。

旅好き、酒好きのさだのことなので、当然、それにまつわるエピソードが出て
くる。ここでは、福井の銘酒「黒龍」だ。”伝説の酒”の一節である。

====(引用開始) 赤塚さんは大の日本酒好きで有名で、僕とは取材の
度に日本酒の話で盛り上がった。
実はその前に会ったとき、僕が福井の黒龍酒造の話をした。
黒龍の最高級大吟醸酒”石田屋”の話になり、黒龍酒造の酵母はいわゆる
”蔵付き酵母”という奴で、自然に蔵に棲んでいる酵母が下りてきて醸す、
これはまさに小泉八雲の言う「妖精の仕事」ではないか、と、盛り上がった
のだった。(
引用終了)====

登場する赤塚氏はすでに故人となられたのだが、この伝説の酒「松竹梅」
にまつわるさまざまな回顧録が感動させられる。

歌もいいけど、随筆もいいよ、さだまさしは。(^_^;)

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2007年4月 1日 (日)

私の本棚070401物理屋の説教

『仮説力』(竹内薫著:日本実業出版社 1,300円+税)
東大での物理屋で格式張った話でもするのかと思いきや、意外とソフトで文章も面白いのである。
仮説を立ててものごとに取り組むのが常道だということだが、問題に取り組む姿勢に対して、普遍的なニオイを感じさせる文章があって、なるほどと思ったね。

===(引用開始)ビジネスの種というのはみんなに平等に転がっています。けれども、最初からまずダメという人はダメだし、それから、ちょっとやってみて「難しいね、これは」という人もダメなんですよ。それに対して、粘って粘って絶対最後までやるぞと根気強くやる人がいるんです。その人たちは、何らかの結果を出しますよね。
科学や数学の問題を解くという作業はすごく大変なんだけれど、ビジネスをやっていくときの、いろんな問題を解決していく作業は、意外と精神面では共通点があるんです。(
引用終了)===

何をネタに話しているのかというと、同じく物理学者で教育にも尽力したアメリカのファインマンの虫食い算(割り算)問題を解く姿勢について綴ったものである。
なんだか、身近にもこの3タイプがいるもんだね。(^_^;)
食らいつく姿勢は見習わないとなあ・・・(^_^;)

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