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2007年5月12日 (土)

【私の本棚070512】たかが鮨とは言えなくなる本

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『失われゆく鮨をもとめて』(一志治夫著;新潮社 1,400円+税)

日本全国鮨食べ歩き紀行・・・という内容かと思いきや、これが結構
骨太で読み応えのある本だった。
佐藤衛司(えいじ)という鮨職人との出合いから始まり、佐藤が求める
鮨ネタを求める”探訪記”というにふさわしい一冊である。
面白いルポライターを発掘した気分である。
職人の名に恥じないこだわりの取り組みがつらつら書かれていて、うれ
しくなってくる。(目黒にある鮨店としか紹介していない)

-----(引用開始) そこで、親方がつかんだのは、「二十分の法則」
だった。
「お鮨にとってしゃりは一番大事。しゃりの語源は仏舎利のしゃりですね。
だから、いかにぱらぱらに、さらさらに作るかとみなさん思っている。
炊いて、酢を合わせてしゃり切りしたときに、できるだけ粘り気を出さない
ように、と。でも僕は決してそうは思わない。お米というのはね一粒一粒
炊きあがったときに、周りから少し粘り気が出るのが絶対の旨味だと僕は
思っている。不味くなるのは、米粒が割れとヒビを起こしたときに中から
ぬめりが出るからなんです。それを起こさないようにしながら炊飯するわけ
です。」 
(以下、その炊き方のレシピが掲載されているが省略)

(美味い日本酒を探すところも秀逸。河井というのは酒屋の名前である。)
河井の店を見つけたのは、目黒の古参客、通称「横浜支店長」の平家豊である。
目黒の常連たちつまり各支店長たちは、旨い鮨を食べるために、自分たちで
旨い酒や酒屋まで見つけてきてしまうというわけだった。ちなみに、この古参
客ばかりが集まる「支店長会議」なるものが希に目黒で開かれることもあり、
それはそれは恐ろしい酒宴になるらしい。(中略)生ビールを飲んだあと、
河井が学んだこともあり、親方の店にも卸している「阿部勘」を頼む。
もっとも、目黒に入ってきている酒は、たとえ同じ酒蔵、銘柄であっても、
中身は違う。たとえば、鑑評会に出すために造られた酒の残りが流れてきたり
するのだ。一升瓶にして五本とない貴重な酒である。それは、河井が苦労を
重ねて手に入れた酒だが、親方は「全部くれ」と言ってきたりするから、油断
ならない。あるいは、「志太泉」が親方の店のために造る24本の酒がある。
ラベルは手書きだ。そのうちの8本は独占したがるが、河井からすれば「鮨屋
に6本いって、酒屋に2本ってのはおかしい」ということになる。とにかく、
この「志太泉」の「中取り」をめぐっては、毎年二人の間で小さな攻防が繰り広げ
られているというわけである。そして、「志太泉」に限らず、この河井の店に
入ってくる一番いい酒のほとんどすべてが、目黒に流れていくというわけだった。

-----(引用終了)

もう、これを読んで行ってみたくならない人がいたら、おかしいくらいだろう。(^_^;)
私も金を貯めて、上京したら行ってみようと思った。

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