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2007年6月17日 (日)

私の本棚070617web2.0の先

『これから何が起こるのか』(田坂広志著;PHP研究所 1,500円+税) 4569652328

このところ新時代を照射する好著との巡り会いが多い。本書もその一つ。とかく先見予想のジャンルではトフラー夫妻のように西欧人にリードされがちなところがあるが、見ての通り著者は日本人。
web2.0で日本人といえば梅田望夫さんが有名だが、それに続く人ではないかと思う。ちなみに、望田さんと茂木さん(健一郎さん)との対談をメインとした”ちくま新書”『フューチャリスト宣言』もなかなか読ませてくれる期待どおりの背表買いの一冊(後日、紹介する予定)。

本書のサブタイトルは”我々の働き方を変える「75の変化」”となっている。しかし、序話のタイトルの方がはるかにインパクトがある気がする。こうだ。
”ウェブ2.0革命」が、資本主義のすべてを変えていく”

全体のボリュームの割に75もの項目細分化しているために、どうしても的を絞った要約的筆致とならざるを得ないが、逆にその方が読者のイメージを喚起し、主張が明確となるために効果的なのではないかと思う。

さらに、全ての項目で同様のスタイルをとっているので、数項めくるとどこだけを見ていけばよいのかというコツをつかむことができるので、読了も速い。これは、今後の本作りの参考になるなと感じた。
項目の頭だけを拾ってみると、次のようになっている。

第1の変化 「情報革命」によって劇的な「権力の移行」が起こる
第2の変化 「ネット革命」は、社会の隅々で「三つの革命」を起こしていく
第3の変化 「ブロードバンド革命」は「三つの壁」を打ち破る
第4の変化 「ウェブ2.0革命」は「三つの革命」を進化させる
第5の変化 「ウェブ2.0革命」は「衆知創発」の革命をもたらす    
と、以下75項目にわたる。なかなか興味深い。

さて、そんな中で、ポータルサイト戦略が今後続いていくかどうか疑問を投げかけて以下のように続くところが目に付いた。

(引用開始)--- これからの市場では、「顧客に自社の商品を売りつけよう」とする企業は消費者から疎まれます。逆に、「顧客が最良の商品を買うのを手伝おう」とする企業にこそ、消費者の支持が集まるのです。
それは、端的に言えば、こうした姿勢です。
自社の店頭に顧客が来る。しかし、その顧客のニーズを聞くと、自社の商品がベストではない。そのとき、真摯に、誠実に、お客様、それがお客様のニーズであるならば、残念ながら当社の商品よりも、この会社の商品をお勧めいたします」と言って、ライバル企業の商品でも勧めるという姿勢です。
 ---(引用終了)

しかし、この姿勢を貫くことは難しい。自社のIDを低めてしまい兼ねない態度だからだ。自社の商品や製品を自信をもって勧めることを社員なら当事者として当然持っているはずの意識だからである。つまりは、自社品が他社よりも劣る部分を認めることになってしまうからである。これが量販店なら別問題だ。「それなら、こちらのメーカーさんのこの機種がお客様のニーズにあうものでしょう。」ということができるからだ。
この敵に塩を送るような行為を社是として徹底できるかどうかが、これまでの競争一辺倒だった社会風土に変革をもたらすに違いない。
この点に関しても田坂氏は明確に言う。

「革命」とは、昔から、ただ一つの定義しかない。
「権力の移行」

これまでの企業優先で消費者に購買させてきた「当然のパラダイム」をひっくり返すことができる企業、それがweb2.0に台頭する企業ということなのだろう。
『成長への賭け』(上下)もよかったが、こちらもなかなかよかった。
FreeTalkの大前組には必携の一冊である。

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