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2008年6月30日 (月)

なんで勉強するのか

これは勤務校の学校便りの巻頭言に書いたものです。
学校長にも好評で「これ、道徳の資料に使っていいか?」と聞かれました。(^_^;)
同僚にも感動した・・なんて、誉められたものです。

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なんで勉強するのか
 総務 大谷 和明

 しばしば勉強したくない子どもがこの質問をしてきます。大抵の大人は、「勉強するのが子どもの仕事なんだから、ぐずぐず言ってないでちゃんとしないと将来困るよ。」などと脅しとも励ましとも付かないような助言をします。
 何かに熱中している子どもは、その熱中している最中に「なんでぼく(わたし)はこんなことに一生懸命やるの?」なんて質問してくることは、まずないでしょう。理由は簡単です。好きなことをしているからです。
 したがって、「なんで勉強するの?」と聞いてこない子どもにするには「勉強好きな子どもにすればよい」というのが答えになるわけです。
 でも、これじゃあ、なんだかだまされた感じがしますね。
 そこで、子どもがもつ素朴な質問を大人に当てはめてみることにしましょう。
 「なんで働くの?」
 これは大抵、こう答えるはずです。
 「食うためだよ。」
 これはもちろん間違いではありません。私も長らく、なんの疑問もなく、そう考えてきました。だから、「食うために働くんだ」と言ってはばかるところがなかったわけです。ところが、友だちや先輩の中には「働くために食うんだ」と強く主張する人がいました。
 それじゃあ、車を走らせるためにガソリンを注入するようなものじゃないか。働くのが目的だなんて、自分が機械のようなもんじゃないか。バカバカしい発想で本末転倒だと思っていたのです。
 時間が過ぎて、私は今年で50歳になります。いかに長寿の国といえども、人生の下り坂に入っていることは否めません。年齢なりに自分の過去を振り返ることも、たまにはあるものです。その時に自問することが「自分は何のために働いてきたのか?」ということです。食うため、家族を食わせるためということなら、食べる分だけ働けばいいことになります。ちょっとばかり贅沢をしようと思ったら、その分を余計に働けばいいわけです。
 しかし、それではどこかむなしさが残ります。そんなことを思っていたところ、この素朴な疑問に解決の終止符が打たれる時が来ました。それはこうです。
 日本には古くからこういう言葉があるそうです。
 「働く」とは「傍楽(はたらく)」ということで、傍(はた;つまり周りの人々)を楽にするということだ。自分が仕事をすることで、周りに貢献して幸せを創出することにつながるということです。
 決して、自分のためだけのことじゃあないということです。そうすると、働くことは、周りのためになることであり、強いては国のため世界のためになるということです。そうすると、労働の意義がとたんに崇高なことだと再認識できるようになってきたわけです。
 「仕事するために食べる」というのは、価値の高い認識だったわけです。
 再び子どもたちに正対してみることにします。
 「勉強することは、周りのためになる、社会に役立つ人間に成長するためだよ。」こういうと、勉強することの尊さが増して、子どもたちに伝わるような気がします。もちろん、好きなことをすることが勉強になっていればさらに理想的です。
 思い返してみると、子どもがとても小さい頃、いろいろなことをとてもやりたがっていた頃、その奉仕の活動は何か報酬を得ようとか誉められようとかといった打算的なことを考えて行動していたわけではないでしょう。無償の働き、ボランタリー精神が豊富で、人のためになることそのものが喜びを感じていた時代です。悲しいことに、これはだんだんと衰退していって、しまいには報酬のためだけに働くことが当たり前と思うようになってくると、労働そのものの価値が相対的に下がってしまうような気がします。

 勉強は決して、家でも教室でも机に向かってしていることばかりではありません。労働を通して学ぶこともありますし、人のためになることをする勉強もあります。一つひとつの貴重な体験を積み重ねていくことは、自分という人間の価値を高めていくことなのだということを自覚するようになった時、もう一つ人間としての成長を獲得したと言えるのではないでしょうか。単に知識を与えることよりも、もっと大事なことを与えることになると思います。修学旅行が終わりました。これから宿泊学習が始まります。座学じゃない体験学習を通して、貴重な学びが数多くあることでしょう。
 そんな場で働くことができる教師というのは、実は大変贅沢な職業なのかもしれません。

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