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2019年5月20日 (月)

社会性や対人関係能力の何が問われるか

これまた以前に投稿したものの紹介です。
当時、明治図書の連合雑誌(江部・樋口の両編集長の手になるものは、そう呼ばれていました)の中では、現代教育科学が一番多く書かせてもらったのではないかと思います。
私のような新卒者にとっては憧れの教育雑誌であり、発刊当時から日本の教育界をリードするオピニオン誌として名声をはせており、そこに寄稿させていただく名誉というものを、後々実感いたしました。そのため、日本の著名高名な教育実践者・研究者に並んで名前が予告掲載されると冷汗三斗の思いを何度もしたものでした。(^0^)
今回のものは、免許更新制度が始まってから十年の節目に当たって特集されたものです。
その後、民主党が制度廃止を謳っておりましたが、政権をとっても実現することもなく現在に至っています。
今度も継続されていくものでしょうから、現場に戻って役立つこと、そして何よりも受講される教員にとって充足感充実感を提供できる講座内容にしてほしいと願っています。何万円も自腹で受講し更新していくものですからね。

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現代教育科学二月号
特集 免許更新制十年目の講習内容を問う
3 社会性や対人関係能力の何が問われるか
(2)成長を続けるか、惰性に堕ちるか

札幌市立もみじ台南小学校
大谷 和明

一 十年目~節目と分かれ目

 (本稿では、十年目を教職経験として十年目と位置づけて構想している)
 現行法制研修には、初任者研修と十年研修の二つがある。十年目を節目の時期とするのはなかなか適時であると思う。十年目というと、大方は、二校目の勤務校に在籍している者が多いはずだ。中堅クラスの仲間入りとして、これまでのキャリアを考えた人事配置(分掌配置)をされていることだろう。 職員の年齢や経験年数などの構成によっては、主任・部長の命課をされている者もいることだろう。そのような時期での免許更新で、求められることは、次のことである。
メンテナンス どのような機械であっても、使用不可能になるまでは、定期不定期で状態を維持させていくためのメンテナンスが必要である。組織人としてのメンテナンスを求められるのが、すなわち十年目免許更新制度だと考える。
 ちなみに経験年数=キャリアではない。旧来型社会では、年功序列が普通であったが、現代社会では年々序列はあっても年功が伴っているとは限らないのが当たり前となっている。つまり、
キャリア=職能レベルという能力判断されているのが、現状である。その能力をこれからも向上させていこうとするか、維持に留まり惰性で送るかを迫られる時期が十年目なのだと私はみている。
二 対人関係 蟻の眼・鳥の眼を持つ

 蟻の眼とは二次元的視野という意味である。つまり、横のつながりへの目利きということを指す。すなわち、学級・学年経営に関わる対人関係を表すものである。
 対象は、児童・生徒となる。学級学年経営の力と一言で片付ければ簡単かもしれないが、今日的問題や課題を考慮するとそう簡単にはすまされない。
① 学習能力を科学的に把握できるか
② 障がいの有無・分析ができるか
③ いじめ問題の予防や実態把握ができている自信があるか
④ 不登校生への対応が適切だといいきれるか
⑤ 障がい児に関しては、生涯にわたる個別指導計画の一時期を担っている責任意識をもっているか
 この程度のことは常識として意識されていなければならないことである。学級王国の王様として安穏とした生活ができる時代は無くなっている。全学級規模や小規模校なら全校児童生徒にわたる人間関係や個別の情報・能力について指導材料として認識している必要がある時代なのである。だから、次のことが問題となるのだ。
アカウンタビリティ(説明責任) 説明責任には次の三つの責任があると指摘されている。
③ 結果責任 ところがどうだろう。結果に対する責任が曖昧とされてきた学校現場が多くないだろうか。ご自分の勤務先の実態を考えてみてほしい。さらには、計画を具体的に執行していき、途中でチェック改善していく「実行責任」が共有されていると自信を持って言える学校はどれだけあるだろう。
 次に示すのは、私の勤務校で行っている分節時評価項目である。五月・十月・十二月、そして総括として二月年度末評価として四回の定期評価をとって日々の実践チェックをしている。

1.教育課程の編成と実施状況について(一部省略)
(1)重点指標「自学力と共学力を育む学校の創造」に向けて、効果的な教育課程の編成ならびに実施が図られているか。
「自学力と共学力」を意識して計画されたことが実現できましたか?
(2)も南小の「生きる力(指導要領キーワード)」の実現に向けて創意ある教育活動が展開されているか。
学級学年経営上、「生きる力」を意識した実践がうまくできましたか?
(3)教育活動全般の評価を適宜行い、次の教育活動や次年度教育計画に生かしているか。
活動目標を設定し、実施後の評価を次の活動への材料とすることができましたか?
(4)教育計画作成に当たっては、教職員間で十分な検討を行っているか。
(5)児童・保護者の願いを把握し、それに応える教育活動を行っているか。
学級・学年の主体的活動を計画・実践することができましたか?
(7)命の尊さや社会のルールについて、適宜適切に学ぶ機会を設けているか。
2.教育課程の実施を通した子供の育ちについて
(1)一人一人の子供が、自分らしさやよさ、可能性を発揮しているか。
(4)到達度の低い児童に対する指導方法などを改善しているか。
(5)意欲の高い子に対する発展学習などの充実に努めているか。
(6)評価を意識しての指導方法を改善してきているか。
(7)補充学習など個に応じた視点で学習指導を工夫しているか。
3.外部との連携
(1)保護者は、学校の教育方針を理解し、両者の信頼関係のもとに教育活動が推進されているか。
(2)保護者や地域・関係機関など、外部の教育力が活用されているか。

 学年の横のつながりは、
機能集団意識を持つということである。

三 社会性としての「鳥の眼」

 学校全体を俯瞰するのが鳥の眼である。相互に関連しあっている分掌組織をいかに機能的させていくかという能力である。学校の教育目標具現を支えるのが分掌組織である。十年目ともなるとひとかどの力があるだろうから、各分掌トップを任されることが多くなる。自分の所轄だけでなく、他の分掌との関わりで業務や内容改善を図っていく上で、同僚との関係を良好に築く必要はある。コトラーは言う。
ンセプト』東洋経済新報社) この意識は重要だ。決まった仕事を管理するルーチンワークを監督するだけなら、学校が変わっていくはずがないのである。十年一日のごとしである。建設的な同僚性をどう築いているかということも問われることになるだろう。

四 社会性をみる法意識

 校外での対人となると「保護者・地域・関係機関」となろう。これらとの関係をどう良好に築いていくかという視点が要求されるだろう。
 しばしば社会性をうまく築けない人が、いたるところでトラブルメーカーとなってくるものだ。企業的に言えば、高リスクを抱え、高コストがかかる人である。自分が当事者ならすでに免許更新の対象外で、問題外だ。問題となるのは、そういった人たちとどのようにつきあっていくかということである。非協力的な保護者はもちろん、学校を批判・批難対象としてしかみていないのではないかと思わされる保護者が増えてきている。これは、社会性との関係から、次の能力を意識する必要がある。
法と倫理 今日、不登校問題が大きくクローズアップされている。この不登校に関することでも、取り組みの意識が希薄な人が多いものだ。例えば、不登校だと断定する根拠はなんだ?という問いに答えられる必要がある。ある人は、「正当な病気や事故欠席でなく十日ぐらい休んでいたら不登校だと考える」と言った。曖昧である。学校教育法施行令に示されている。明確な規準があることで判断でき、策が講じられるのである。勉強熱心な私のサークル員でさえ、指摘されるまで知らなかった者がいた。「話せば分かる」とか阿吽の呼吸だとか腹芸だとか言ってられないほど日本人の心のつながりは弱くなってきている。ボーッとしていると懲戒処分されたり、訴訟を起こされたりする時代なのだ。誠実な行動を執るのは当然のこととして、社会性を意識した対人意識を持つことが肝心だろう。

五 ソーシャルワーカー

 特別支援教育の枠組みが大きく変わってきた。学びの支援委員会のコーディネータには、ケーススタディに強く、照応する関係機関を見付ける学校のソーシャルワーカーとしての資質が求められる。十年目を過ぎて、めぐってくるであろう重要な立場である。当然、講習でも問われることとなるだろう。経験値を積んでおく必要がある。

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